2012年4月11日水曜日

金沢2 栄喜記

朋子さんのドレス作りに対する情熱はなみなみならぬものがありました。
さかのぼる事数ヶ月前、式場を自由学園に決め、さあいよいよ結婚式準備スタートといった頃だったでしょうか。
ドレスはオーダーでいきたいと朋子さんが言いました。それは何年か前に「クウネル」に掲載されているのを見て以来、結婚式をするならこのドレスを着たいとずっと思っていたオーダードレスだと言うのです。
最初その事を聞いたときは、正直なところあまり乗り気ではありませんでした。やはりお金だって余計にかかるし、聞けば金沢に打ち合わせやら仮縫いやらで足を運ばなければならないというではありませぬか。
だから最初の頃はいかにして朋子さんと妥協点をみつけていくか、という事を考えておりました、正直なところ。つまりは、そのオーダードレスではないにしろこれなら良いかなと思えるレンタルドレスをみつけるという事です。

しかし、その試みが不可能である事を悟るのにはそれほどの時間は要りませんでした。
というのも、最初のプランナーさんとのドレスに関する打ち合わせの時の朋子さんの興味のなさっぷりが半端なかったのです。
目を見ればわかりました。
プランナーさんがカタログを広げて一つ一つ丁寧に説明してくれるのですが、朋子さんの顔からはあらゆる表情というものが完全に影を潜めておりました。
ああ、既に心は金沢に行ってしまっている。その時に朋子さんの決意はダイヤモンドよりも固く、もはやどんな妥協点もみつからないだろうという事を悟ったわけであります。
そしてそれからしばらく後、僕らは本当に金沢行きの新幹線に乗っていたのでありました。

さてさて、「金沢」とタイトルを銘うっているのに全然金沢について書いておりませんでしたので、今回の金沢旅行で役に立った本を紹介しておきます。

「乙女の金沢」
http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4123901379/ref=dp_top_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&showViewpoints=1

金沢市内の雑貨とか飲食店とかお土産とか、とてもいいとこついたセレクトで掲載されてると思いました。
分量としても、あれこれと広げ過ぎずに的を絞ってあるのが有難い感じがします。
金沢から足を伸ばして温泉に行ったり蟹食べたい、といった趣旨の旅行にはあまり参考にならないかもしれませんが、ぶらりと市内を観光したいという方にはちょうど良いかと思います。
僕は行きの新幹線の中で4回くらい読んでしまいました。とてもおすすめです。

つづく。

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